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デザインで時代判別が難しい50sのYシャツ

2016.02.21

シャツの襟は1950年代に入ると、それまで長めに尖っていた襟の形状が1960年代へ近付くにつれて小さくなっていく傾向があります。

それはネクタイを締める事が出来るタイプのYシャツ等も同様でした。

画像の広告は1954年のLifeからですが大体このくらいが当時の平均的なシルエットでしょう。
ネクタイもそれほど太すぎずスタンダードな感じです。
だだしネクタイは50年代後半になるにつれ確実に細くなっていくのに比べ、シャツの襟の形状は変則パターンや、それに合わせた異素材の、50sの時代性や流れに当てはまらないシャツが多々あり、当然ながら定着しないで消えていった面白いデザインも存在します。
現在のヴィンテージ市場でシャツに限らず年代物を見分ける場合、第一印象はデザインで判りますが、続いて素材…そのどちらにも当時らしさが無ければ普通はスルーするアイテムも最終的にはタグを見て大体納得する事ができます。

それでもタグは50sデザインなのに本体は自分のイメージの50sではない物にぶち当たる事があります。

数年前のはなしですが、襟の形状で年代の判別に少し疑問を持ちながら入手したヴィンテージシャツが有りました。
しかし、ある映画を見て解決した事があります。

 

Rock Baby-Rock It(1957)

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1957年のロックンロール映画Rock Baby-Rock It
Johnny Carrollの歌うシーンはEton Hallタイプの2トーン切り替えしジャケットで人気がありますが、実はここで着用しているインナーシャツも面白い物を選んでいます。
若干透けて見えるのが判るでしょうか?

 

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他のシーンではジャケットを脱ぎネクタイを首からぶら下げ、シャツを披露。
素材は通常婦人服で多くあるレース生地で肌が透けて見えてます。
当時としては、かなりセクシーです。
引きのアングルで形状が判り難いと思いますが色は恐らく黒で、胸は左右にポケットがつくタイプです。

 

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後のシーンでは同型の白を着用しているみたいです。
ずいぶんと襟は大きい印象です。ネクタイの結び目が小さいから余計にそう見えますね。

 

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この後ジャケットを脱いだシーンをみると袖はカフスが入るタイプ。

せっかくの映画だし全貌を見せないと勿体無いですからここで脱いでくれてありがたいです!

このシーンがカットされなかった事に感謝!

 

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昨年に製作販売した、エルヴィス・プレスリー着用の物とほぼ同型の半袖開襟レースシャツをデザインした際、参考のひとつにしたヴィンテージシャツです。

これはステージ衣装として使う以外、用途があまり浮かびません。
ポケットは無いタイプ、カフスも付きませんが先ほどのジョニー・キャロルのレースシャツに近いタイプです。
襟の形状もロング・ポイントで素材はレースにも関わらずネクタイを締める事が前提の形になっていて、ちゃんと台襟も付いています。

なのでYシャツと言っていいでしょう…

最初にこれを見つけた時、タグは50年代なのにずいぶんと襟が長めなのが気になっていましたがジョニーの映像を見て納得しました。

ちなみにジョニー・キャロルはエルヴィスが着用していたタイプの半袖開襟レースシャツも所有していて1956年のデッカレコードの録音で着用していた写真が最近公開されています。
映像を見れば分かりますが髪型、衣装、アクション、エルヴィスの影響を受けている当時のシンガーとしては一番計算された演出で50年代にして既にマニアックと言って良いでしょう。

 

 


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