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エルヴィスが歌うミステリートレイン「MYSTERY TRAIN」

2016.03.20

エルヴィス・プレスリーがSUN時代に発表したシングル盤は5枚。
SUNレーベルでは実験的な録音が沢山あったにも関わらず結局LP盤は発売しないで残りの曲はRCAレーベルに渡したので、SUNのプロデューサー、サム・フィリップスが考えるエルヴィス・ベストはシングルで発売した10曲と云う事になります。

なかでも海外を中心に評価の高い曲は「MYSTERY TRAIN」かと思います。
しかし、SUNで最後に発売した曲にしては歌詞、演奏内容ともに他の曲に比べてもかなりシンプル、ドラムも入っていないのは不思議です。
サムは直観力を大事にするので、1950年代に始まるマルチトラック録音より、メンバー同士のグルーブ感から偶発的に生まれる古くからの一発録りを好んでいました。

本当か分かりませんがサムによれば「MYSTERY TRAIN」は何テイクか試したが、結局エルヴィスが失敗したと思い最後の部分で笑ってしまった最初のTAKE-1が良かったので採用したと後のインタビューで語っています。
これもエルヴィスの直観力を高く評価していたからの選択だったのでしょうか。

ジョニー・キャッシュはエルヴィスのギターのリズム感を高く評価していますが、バンドを牽引して行く能力というのはリズム感はもちろんですが、ドラムを使わない録音中心の彼だからこそ通常には分からない世界観があり、当時のエルヴィスにも同じものを感じていたのかも知れません。

この曲でのエルヴィスのアコースティックギターのグルーブ感は他の曲に比べてもトップクラスです。
ギターのスコッティ・ムーアは他の曲に比べても切れのあるギャロッピン奏法で更にグルーブ感を出す様に、エコーを強めでディレイ音を内臓型アンプで設定しています。
ベースのビル・ブラックはウッドベースの弦を指版に直接叩きつけてリズム音も同時に出すスラッピン奏法、通常のピチカートで出るベース音よりスラップの方がベース音自体も大きく鳴り、パーカッションの様なスラップ音も加わるのでこの曲には最大の効果を与えます。
この二人の鉄壁リズムを牽引しているのは間違いなくエルヴィスのリズムギター。
エルヴィスのギターコードストロークはドラムの様にいきなりアクセントを付ける所があり曲全体のメリハリがそこで違ってくるのです。

発売当時のオリジナル盤を聴くと三人で演奏しているとは思えないほどの音圧、迫力があります。

 

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もともとリズム&ブルースだった「MYSTERY TRAIN」の歌詞にはホラー的要素があります。
戦前からのブルースソングには列車もの、旅物が多く存在しますが、多くは本人の内情、不安感を歌詞にする事が多く、悪魔が出てきたり何か得体の知れない物が自分の家族、彼女、財産など、何かを奪って行く内容だったりします。
当時のブルースシンガー達はそれらの曲をレコードやラジオで聞くというより、小さな酒場などで実際に見聞きした歌詞を多少意識的に変えたり、または間違えて憶えてしまいそのまま歌われて引き継がれた場合もあり、それらは1950年代になり白人シンガーにも歌われてロカビリー、ロックンロールのスタンダードとして定着した例も多々あります。

ブルースの不安感は若者の不安定な心にも響いたのでしょう…

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「長く黒い列車が俺の彼女を連れ去ってしまった…」

最初に録音したのはジュニア・パーカー、彼のバージョンは素晴らしく不気味で、ジム・ジャームッシュ映画「ミステリー・トレイン」のエンディングで効果的に使われています。
対してエルヴィス版は全く雰囲気が違います。

エルヴィスは
「俺の彼女を連れ去っていってしまった、でも二度とそうさせない…」
「でも、彼女を連れ戻す、彼女は俺の物、すべて俺のもの…」
ここの部分を自身に満ちた感じで歌っていますが、一方ジュニア・パーカーの場合は悲しく切望している印象でブルース感満点です。

エルヴィスの解釈も未来ある若者らしく素晴らしいと思いますが、歌詞の内容についてサム・フィリップスと口論になったと言う話が最近の研究で明らかになった様です。
80年代に多くのロカビリーバンドがカヴァーした「Let’s Bop」などが有名なSUNの歌手JACK EARLSはエルヴィスが「MYSTERY TRAIN」を録音した際に居合わせ、SUNスタジオから自宅へ戻りジュニア・パーカー版のレコードを届けた事を憶えていたそうです。

最初エルヴィスは15両列車「fifteen coaches long..」と歌い
サムが16両列車「sixteen coaches long」だと指摘したところからオリジナル盤をエルヴィスに聴かせる為に自宅を往復する羽目になったのです。

fifteenもsixteenも歌の響きはどちらも良い雰囲気ですが意外とエルヴィスはワザとそう歌ってみて、一度中断となり、確認後正しく16両と歌い、照れ笑いしたのがリリースされたテイク、それがサムが選んだテイクだったのかも知れませんね…

 

LOT.786-11 Train- Black

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Lot.786-11
Price…9,200yen(No Tax)
Size…XS,S, M ,L
Color Black , White
Material…Cotton 100%

 

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カテゴリー: 706union Items,Elvis Presley,Music

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